以前から気になっていた、企業・公共団体のIT構築支援やふるさと納税ポータルサイト「ふるさとチョイス」で有名なチェンジ(3962)について調べて見ました。
主な事業内容
・NEW-ITトランスフォーメーション事業、「地方創生×DX」
新しいテクノロジーやデジタル人材育成を通して日本企業の業務オペレーションやビジネスモデルに変革をもたらし、齢化やコロナ禍による人手不足になっている業種に対して、生産性と付加価値を向上させるサービスを提供。
・投資事業
他の事業と相乗効果のあるビジネスへの投資を通じ、新事業の創出やビジネスモデルの構築を担っているほか、IPOの準備期間に入っているいわゆるレイターステージにある企業や引き続き高い成長が見込まれる上場企業への投資。2023年10月には動画や掲示板の投稿監視のほか、サイバーセキュリティ事業などを手がける企業の買収を行い子会社化しています。
・パブリテック事業
ふるさと納税のプラットフォームビジネス及び官公庁向けのテクノロジーサービスの提供等あらゆる方法を通じ、デジタル化による地方創生の推進。チャットGPTを活用したサービスの提供を開始し発表から1ヶ月足らずで100件以上の問い合わせがある状況。
日本の超高齢化社会に対して『人×技術』で日本の生産性を飛躍的に向上させ、日本を持続可能な社会にするため、事業を展開している、
社長インタビュー内容
福留大士社長は「サイバーセキュリティ業界の再編を目指す」と公言し、サイバーセキュリティ関連でさらなる買収を模索する。買収によってどのような会社を目指すのか。DX支援やふるさと納税などの既存事業とどう連携していくのか。
■サイバーセキュリティを中小企業や地方自治体まで広げる
――約160億円を投じてイー・ガーディアンを子会社化しました。どのような経緯で、なぜ買収に踏み切ったのか。
もともとはサイバーセキュリティではなく、アフターコロナで外国人観光客が戻ってくる中で、観光産業に思いっきり張ろうと考えていたが、サイバーセキュリティの事故が続発していたため。
地方の重要な産業である観光産業の振興を通じて、地方にお金を回す仕組みを作ろうと準備してきた。ただ、その前に守りを固める必要があると感じ、サイバーセキュリティを次の軸に決めた。
イー・ガーディアンはサイバーセキュリティの事業をまだこれから伸ばしていくフェーズにあるという点でいいと思った。加えて、経営陣とも(性格面などで)相性がよく、一緒に難局を乗り越えて事業の拡大に取り組むパートナーとして最適だと考えた。
――サイバーセキュリティは既存事業と、どのようなシナジーがあるのでしょうか。
大企業だとサイバーセキュリティの専門部署があるが、専門部隊を抱えられない中小企業がすごく多い。サイバーセキュリティを大企業だけのものにせず、中小企業にまで広げないといけない。
セキュリティのコンサルティングだけでなく、実装やソリューションの導入、運用といった領域まで担える会社になるのが、大事なテーマだった。
■業界再編を仕掛け、量も質も追う
――子会社となったイー・ガーディアンは上場を維持し、親子上場となります。非上場化する考えや、完全子会社化する考えはなかったのですか。
経営陣に上場を維持したい意向があったので、尊重した。当然、独立性を保って事業展開をしていく。
子会社側の経営陣や少数株主の立場に立ったときに、メリットがあるかどうか見極めて経営判断する。
M&Aをすると自分たちのカラーに全部染め上げる会社が多いが当社はそういう考えはない。どの会社にも創業の志や、成し遂げたいことがある。そこをできるだけ尊重して、戦略の自由度を持たせるようにしている。
――TOB発表直後の2023年8月の決算説明会では「サイバーセキュリティ業界の再編を目指す
」との発言もありました。
傘下にサイバーセキュリティを担う中間持株会社を立ち上げ、この中間持株会社の下に事業会社をぶら下げていく。この1つの法人でありとあらゆるサイバーセキュリティニーズに応えられるようにしたい。
――業界再編を目指すのは、規模の拡大のほかに、さまざまなメニュー、オプションを持
つことが狙いですか。
当然、規模の拡大も重要。大企業は内製でセキュリティ部隊を抱えていることもあり、サイバーセキュリティ業界はどの会社も規模感が小さい。数千人規模で人的リソースを抱えている会社はほとんどな
く、キャパシティをきちんと持つことは非常に大事。
「サイバーセキュリティならあそこに任せておけば大丈夫」と思われるようなブランドを確立したい。
■数字合わせはしない、大型のM&Aを1件見送った
――M&Aに対する現在のスタンスは?
サイバーセキュリティに特化した会社と、地方にあってエンジニアのリソースを抱えている会社の2方向を考えている。ただのM&Aカンパニーではないので、「地方創生×DX」という軸は外さずに事業を展開していく。
――以前はエンジニアのリソースを求めて、「人材獲得型のM&Aをしたい」と話していました。
念頭に置いていた案件を諦めた(買収案件が流れた)。魅力だったが、創業から30-40年経っていて、既存事業を守ることや続けることに意識が向いており、当社の成長志向と相容れなかった。
会社を丸ごと変革するプログラムを実行すれば、なんとかなるかもしれない。しかし、かなり疲弊するだろう。優秀な人材をもっと前向きな領域に使ったほうがハッピーだということで案件が流れた。
――来2025年3月期が中期経営計画の最終年度になります。売上高780億円、営業利益200億円の目標は、今期のチェンジホールディングスの業績見込みにイー・ガーディアンの業績を合算してもとうてい届きません。このギャップをどう埋めますか。
買収案件が流れたので、軌道修正をかけている。目標の旗はまだ降ろしていないので、ギャップを埋めなければならない。
民需向けDX支援、デジタル人材育成、地方創生(ふるさと納税含む)、自治体DX、この4つの既存事業で、オーガニックに成長させていくのに加え、M&Aでインオーガニックに業績を伸ばしていく選択肢もある。その数字の組み合わせを、最後の最後まで考えていく。
達成に向けて全力を尽くし、さまざまな施策を打っていくが、数字は最重要課題ではなく目安だ。3-5年後に意味のある数字の組み立てでなければ、それは単にくっつけていくだけ、数字を達成しているだけになってしまう。
流れた買収案件は、うまくPMIをやれないと確信したからこそ、謙虚に考えて見送った。数字の達成のためになんでもやりますというスタンスではなく、中長期で会社がよくなる、より世の中に貢献できる事業体を作ることに寄与するかどうかを見極める。
■増益と増配を続け、もう一度上場来高値を抜く
――ふるさと納税では10月から経費基準が厳格化されるなど変化がありました。
ふるさと納税については、やはり9月末に駆け込み需要みたいなものがあった。中長期的にどういう影響があるのか、中間決算を発表する11月中旬には、ある程度の方向性は説明できるだろう。業績に対して大きなインパクトはないとみている。
――ふるさと納税以外では、経営環境についてどう見ていますか。
コンシューマー向けの、グーグルやメタ、アップルなどがやっている領域は、圧倒的な投資と利便性の高さでグローバルスタンダードを確立されており、巻き返すのは容易ではない。ただBtoB、とくに中小企業向けでは、いい製品さえ作れば巻き返す余地がある。サイバーセキュリティなどはその筆頭だ。
チャットなどもそうだ。海外のソフトウェアに侵食されている領域の中で、国産で守れる部分がたくさんある。そこを見つけて、シェアを取っていく。
――従来から「キャピタルゲイン(値上がり益)で株主に報いることができなくなれば、インカムゲイン(配当)で株主に還元する」と話しています。ここ3年は株価が伸び悩み、配当を増やしてきました。今後のキャピタルゲインとインカムゲインのバランスについて、どう考えていますか。
本当にここ2-3年は不甲斐ない。海外の機関投資家と面談していても「私たちは成長を確信しているが、マーケットの評価が芳しくない。もっとポテンシャルを(マーケットに)説明しろ」と言われている。
株主への還元についてはTSR(株主総利回り)で考えており、2020年まではキャピタルゲインだけで報いることができていた。ただ、2020年に株価が上がりすぎた面があり、そのタイミングで投資してくれた株主もいるので、「キャピタルゲインだけで」というわけにいかない。
もう一度上場来高値を抜く局面を一緒に迎えるために、配当で最低限の還元をしておいて、「長期で見て(持ち続けて)ください」とメッセージを出している。配当性向は10%程度を維持したまま、コンスタントに増益を達成してEPS(1株当たり純利益)を上げることで、増配を続けていきたい
業績&チャート
業績は順調に拡大していていい感じですね。
チャートもようやく長い下降トレンドが終わるかのような動きになっていると思います。このまま中期、長期の移動平均線を超えていく事ができるかに注目したいです。
現在の日本社会が抱えてる問題をM&Aによりスムーズに対応していきブランドの確立を目指している企業のように感じました。先行投資が収穫期に入ってきていることも期待できます。新しい事業にも取り組むスピードが速いので、しっかりついていきたですね。
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